フィレンツェの伝統工芸、縫い目のない革小物


 

革を水で濡らして木型に沿わせて伸ばす。革の端を薄く漉いて貼り合わせる。筆で染色をする。熱した鉄ゴテで磨きあげる。

さまざまな技法を駆使し、多くの工程を経て、形をつくりあげていきます。

要となる仕上げの磨き工程で使用するのは「Bussetto(ブセット)」という鉄ゴテ。火で炙ったこの道具を革に押しあてながら磨くことで、革表面の毛穴が閉じ、独特の色彩と艶を引き出しています

 

この革小物をつくるたびに思いを巡らせる。

 

この技術を生みだし、育み、つないできた先代の職人たちは、身近にある自然の恵みである素材の性質を熟知し、それを暮らしに活かすべく手を動かしてきたのだと。

先人の知恵がぎゅっとつまった結晶のような輝きに、その尊さに、心惹かれているのかもしれません。