工房からの風への扉

応募用紙を書いたのは、

5年ぶりに訪れたフィレンツェからの帰り、

アムステルダムでのトランジット待ちの時間のこと。

 

フィレンツェでの再会、

そこで尊敬している方たちからかけていただいた言葉、

そしてこれからどうしていきたいのか。

 

いろんな思いがぐるぐる回っていた心の中。

その想いのままを応募用紙に書き込んでいきました。

 

「工房からの風の応募用紙は作文だからね。書くだけでもよい経験になるよ。」

 

私に工房からの風をすすめてくださった作家さんが、そうおっしゃっていたことを思い出しました。

 

その方と出逢ったのは、昨年のとあるクラフトフェアでの懇親会。

たまたま私の前に座ったその方は、私の作品を見て、

工房からの風への応募を薦めてくれたのでした。

 

その熱く語る真剣なまなざしに、引き込まれてしまいました。

こんなにも熱く語る人に出逢ったの、いつぶりだろう。

 

懇親会の後、宿に戻って、工房からの風のHPをひらきました。

 

そこで最初に目に飛び込んできたのが、

「マルテの手記」の director's voice。

 

読み進めていくうちに、心が柔らかくなり、目が潤んでいきました。

 

こんなにも、ものづくりを愛し、真剣に思い、育もうとしている場所がある。

この場所に私も立ちたい。

工房からの風の扉をたたこうと決めた瞬間でした。

 

まっすぐに自分の想いをいっぱいいっぱい書き込んで、

締切ぎりぎりの速達でだした応募用紙。

 

数日後のクリスマス、選考結果通知が郵便受けにはいっていました。

 

震える手で、胸が飛び出しそうなくらいドキドキしながら封をあけて、

たくさんの文字が目にうつるだけで、頭にはいってこない。

数分間そのままの状態の後、ようやく選考に通過したのだとわかった。

 

嬉しくて飛び跳ねてしまいそう!

けど、すぐに不安が押しよせてきました。

 

私、大丈夫だろうか。

 

嬉しさと大きな不安をつれてきてくれた、

思いがけないクリスマスプレゼントでした。